「壊れた時計も日に二回は正しい時間を指す」

 某書より、偶然や運の力がいかに大きいか、という話。たしかになぁ。成功者は、一見、人間として優れているように見える。でも、彼らは運良く成功しているだけかもしれない。「壊れた時計も日に二回は正しい時間を指す」。

 たとえば、ある事業を行って、1/2の確率で儲けと損が出るとする。1万人がその事業に挑戦し、損を出した者は直ちにそのビジネスから撤退しなければならないとする。

1年後:5000人が生き残る
2年後:2500人
3年後:1250人
4年後:625人
5年後:313人

 つまり、いくら成功した起業者に見えたとしても、母数が1万人いれば、313人は偶然の要素だけで「若手の新進気鋭の経営者!」と呼ばれたりするわけだ。成功者=優秀図式はうさんくさい、と言う話はもっともなようにも思われる。で、シミュレーションを継続。

6年後:157人
7年後:79人
8年後:40人
9年後:20人
10年後:10人
11年後:5人
12年後:3人

 12年かけて、ようやく3人まで絞られた。「起業して10年会社が維持できれば立派」という話は、ここら辺からきているのかもしれない。でも、偶然の要素だけで3人は立派な「勝ち組社長」と仰がれるわけだ。さらに、母集団を1万人ではなく10万人にすると、12年間生き残った経営者は30人も存在することになる。起業者の能力よりもむしろその事業にトライした母集団の最初の人数の方がずっと影響は大きい、という話には、本当に留意する必要がある。