物語的プレゼンテーション

 こちらの記事の2ページ目に書いてあるように、プレゼンテーションのコツは、「物語を作る」ことに尽きると個人的には感じている。人間はつくづく物語的な存在なのだから。

http://opentechpress.jp/enterprise/article.pl?sid=08/02/12/0122225&pagenum=1

 プレゼンテーションの中で物語を話すということが不可欠になっている。しかし残念ながら、それを認識している人は少ない。プレゼンテーションの作成を始める際にはPowerPointを閉じて、グリッドのことも忘れて、コアメッセージについて考えよう。このメッセージは「テイクアウェイ」(お持ち帰り)と呼ばれている――すなわち、聴衆が講演後持ち帰るべき、絶対的な、必須の、中心となるメッセージだ。テイクアウェイは物語の中心となる部分だが、その回りの部分は講演者であるあなたが自由に作り上げることになる。

 プレゼンテーション作成のこの段階では、紙とペンを使うことを考えてみよう。そうすることにより、PowerPointに付きものの邪魔な事柄から解放される。PowerPointはプレゼンテーションを保持しておくためには素晴らしい道具だが、アイデアを生み出す手助けをするツールでは「ない」。この段階には、色やフォントや画像や、その他の様々な機能はかかわりのないことなのだ。

 情報を伝えることと、印象的なメッセージを伝えることとは、同じではない。印象的というのはすなわち、人を引き付けるということであり、聴衆が忘れないということだ。以下に例を示そう。

つまらないメッセージ:「中国にはアメリカよりも多くの優等生がいる。」

印象的なメッセージ:「中国にはアメリカの全学生数よりも多くの優等生がいる。」

 どうだろう。違いに気付いただろうか?最初のメッセージはすでに聞いたことのあるような単なる事実だ。関心がわくようなことは何もなく、簡単に忘れてしまうだろう。2つめのメッセージは予想外であり、ややショックを受ける感じもあって、関心がわく。これらは印象的なメッセージの特徴だ――聴衆はそのようなメッセージをずっと覚えている。ちなみに、中国の優等生については本当の話だ。

 優れた講演者は、独創的で予想外な形でデータを提示する方法を探す。直接関連はないが興味深い何かと比較することを考えてみると良いだろう。例えば手持ちのデータを世界各国の人口と比較してみよう。データは何位の国に相当するだろうか? 驚くべき結果になっているかもしれない。

 じゃあ、「物語」はどうやって作るの?といえば、たとえば、

http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-147.html

 詳細な実験手法の説明などは一般には避けたほうが無難と考えられがちですが、むしろ実験手技の(詳細でなく)概要の説明のほうが退屈な場合が多いのではないでしょうか。逆に、超具体的な実験手法(どの試薬をどこから取り寄せて、何度で培養したなど)を生き生きと小さな「物語」として語ったほうが、聴衆の記憶に残るでしょう。

こういうこと。実験(調査、マーケティング)の全体を網羅的に説明するよりも、超具体的な実験(調査、マーケティング)内容の一部を生き生きと描き出した方が圧倒的にアピール力が強いことを、最近とみに感じる。これはブログの記事を書くときだって同じなのだと思う。