内田樹が一部に毛嫌いされる理由

 もうね、これはわかりやすいですよね。彼のブログの左上についているサブタイトル、

”みんなまとめて、面倒みよう – Je m'occupe de tout en bloc.”

これへの反感に尽きる。彼は科学的な因果の言葉ではなく、現象学的・解釈学的な離れ業によって、世界を縦横無尽に語り尽くす。その能力は凄まじい。超一流だ。あらゆる問題を彼一流のレトリックでつるっと飲み込んでみせる。しかし、彼は、科学的な因果の世界や、それぞれの分野の専門性をいささか軽視してしまう。毎日毎日、理系の科学者が地道にコツコツと人生を捧げているような、<思想と現実との対応関係を実験と観察によって検証する作業>を蔑ろにしてしまう。

 リスペクトが少しだけ欠けているのだ。それを象徴する言葉が、”みんなまとめて、面倒みよう – Je m'occupe de tout en bloc.”。これは、なんと傲慢に響くフレーズだろう。「みんなまとめて面倒みる」だと?いいかげんにしてくれ!ってな具合に。もちろん、自分だって似た傾向はあるのだけれども。